養鶏場が解説!「卵」と「玉子」の違いをわかりやすく教えます!
みなさんは「卵」は好きですか?
玉子焼きやオムレツなどのおかずや、お菓子やお弁当にも登場する卵は子どもから大人まで大好きな食材のひとつですよね。
そんな卵ですが、「ゆでたまご」は「ゆで卵」か「ゆで玉子」か……どちらが正しい表記なのでしょうか。色んな場面で「卵」と「玉子」の両方を見ると思います。その違いが何か知っていますか?なんとなく使い分けている人も多いでしょう。実はきちんとした定義があるのです。ここでは、「卵」と「玉子」の違いをお教えします!
『卵』と『玉子』の違い
・『卵』は生物学的な意味
一般に「卵」は生物学的な使われ方をすることが多いです。鶏などの鳥類(鶏卵)だけではなく、魚(魚卵)や両生類、爬虫類、そして人間(受精卵)など、生き物すべての「タマゴ」は「卵」と書きます。子孫繁栄として孵化する前提のものを「卵」と言うと考えられます。
・『玉子』は食材的な意味
「玉子」は「食材としての鳥類の卵」というニュアンスです。食用とされている鳥類の卵に限定して使用されるため「鮭の玉子」「カエルの玉子」などとは書きません。この場合は「鮭の卵」「カメの卵」が使われます。「玉子」が使われる場合は、卵料理や卵料理用の食材として使用される、主としてニワトリの卵に「玉子」の字が使われているようです。
『卵』と『玉子』実際の使い分け
「卵」と「玉子」が実際にどう使われているでしょうか?たとえば、スーパーの売場を思い出してみてください。パックに入った生の卵が売られているコーナーは「卵売場」です。総菜売り場では「玉子焼き」です。簡単に言うと生のものは「卵」、調理されたものは「玉子」が一般的です。
・生のものは『卵』
卵については、ニワトリの卵だけにとらわれがちですが、卵は魚類の卵、カメの卵、爬虫類の卵などの場合にも「卵」が使われています。その考えからすると、ニワトリの卵についても同じように、調理される前の生の状態は「卵」が使われるのが順当です。
・調理されたものは『玉子』
前述しましたが、「玉子」は、ほとんどの居酒屋さんのお品書きでは「玉子焼き」となっています。お寿司屋さんも同様で「だし巻き玉子」となっているお店がほとんどです。
・食材の「卵」「玉子」の使い分けは曖昧
「玉子丼」を「卵丼」と書くと、火を通した卵ではなく、生の卵が乗っているような感じがしませんか?また「卵かけごはん」を「玉子かけごはん」と書くと、生卵でなく玉子焼きのようなものがごはんに乗っているようなイメージを与えます。しかし実際には、「玉子かけごはん」や「ゆで卵」と表記していることも多く、そこに明確な基準はありません。「温泉卵」は生っぽいから卵かと思いきや、「温泉玉子」と表記される場合も。このように、必ずしも定義に当てはまらないものがあることも確かです。「生は卵」「調理されたものは玉子」と表記する場合が多い、という程度かもしれません。
料理レシピでは「卵2個」「卵は黄身と白身を分ける」などと書かれます。レシピは、調理前の生の段階のたまごなので「卵」が使われ、完成した料理が「玉子丼」や「玉子焼き」になるようです。
漢字の成り立ちから見る『卵』と『玉子』の由来
それぞれの漢字にはその成り立ちがあり、歴史と文化が潜んでいます。漢字の由来を知ることで、「卵」と「玉子」の使い分けられるようになった経緯も理解できるかもしれません。
・『卵』の漢字の由来
「卵」という文字をよく見てみてください。ふたつの殻の中に点がひとつずつ入っています。丸い殻の中には孵化する子供が入っています。「卵」の漢字は、丸い中に黒点=子供が入っている、まさに卵の形を表しています。この経緯が「卵」の字の成り立ちの一説になっています。これから孵化するこどもを宿した殻、という生物学的な意味合いが含まれていることがわかります。
・『玉子』の漢字の由来
「玉子」にも漢字が成立した由来があります。ニワトリは2,000年以上前に日本に入ってきたようですが、長く、たまごは食用になっていなかったようです。大昔は、たまごは殻があることから「殻の子(かひのこ)」と呼ばれていました。その後、平安時代に卵は「かいこ」や「かいご」と呼ばれていました。しかし「蚕(かいこ)」との区別がつかず紛らわしいことから、室町時代には「玉の子」という言葉で呼ばれており、これが、「玉子」となりました。これは丸い玉の形をしたものの子という意味で、鳥類の卵であることを指しています。
江戸時代に入ると、「玉子」は日常的に使われるようになり、たまごを食べるようになり、「卵」と「玉子」が並立して使われるようになりました。
これで使い分けも簡単!「卵」と「玉子」
いかがでしたでしょうか?「卵」と「玉子」の違いがわからなかった人も「そういえば確かに!」となる点があったのではないでしょうか。だいたいの概念がわかると、表記に悩むこともなくなります。
実際には使い分けは曖昧なのでどちらを使っても問題はありませんが、一つの知識として覚えておくと豆知識で話のネタにもなるでしょう。
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