卵不足はいつまで続く?原因や今後の見通しを養鶏場が解説します
2023年は、鳥インフルエンザなどの感染症による鶏の減少や消費者の需要の増加などにより、卵の供給不足が引き起こされ、社会的な問題としてクローズアップされています。
そこで、今回はこの卵不足の影響はいつまで続くのか、またその原因や今後の見通し、対策などについて卵の専門家である養鶏場が解説します。
2023年卵不足の原因
2023年の卵不足には、大きく3つの原因があります。
①卵不足は鳥インフルエンザが流行してしまった
一つの要因は過去最多規模の「鳥インフルエンザ」です。
農林水産省の発表によると、2023年年5月6日時点で約1,771万羽が殺処分の対象となっています。これは、全国で飼育されている鶏のうち1割を超える数字となっており、これまで最も多かった2020年11月〜2021年3月の約987万羽を大きく上回る数字となりました。
また、北海道は全国でも卵不足の影響が大きいとされているのは、道内でも最も養鶏の生産が多いとされている千歳市において、2023年4月時点で殺処分数が120万羽を超え、道内の鶏飼育数の約2割に当たる数の処分が行われたことによります。
②飼料の高騰
卵不足の二つ目の原因は、ロシアウクライナ戦争による飼料の高騰です。
本来であれば鳥インフルエンザの被害に遭っていない、全国の養鶏場は卵の増産に踏み切りますが、それに歯止めをかけているのが、飼料の高騰です。増産したいけれど、高騰が原因で簡単にはできず、結果卵不足をさらに深刻化させているのが現状です。
③海外からの需要
鶏卵の輸出量のほとんどは香港向けではありますが、近年、生食が可能な「安全・高品質な鶏卵」として、需要が非常に高まってきていることも原因の一つです。
2020年、現在主な輸出先である香港、シンガポールなどでも新型コロナウイルス感染拡大の影響により、内食化の増加、マレーシアやタイなどの他の輸入先国のロックダウン等を契機に、高品質な日本産鶏卵への需要が高まりました。その結果、輸出量は大きく伸び、前年同期と比べ約2倍の増加となりました。
さらに、米国においても、2018年の輸出解禁を受け、2019年2月からグアム向け輸出が開始され、現地の日本食スーパーマーケット等で1パック(10玉入り)約 1,100円と高値で販売されています。(参考:日本養鶏協会鶏卵の需給見通し(令和3年3月))
生卵の日本国内の流通量が減ってしまっている原因には、このような理由も考えられます。
今後の卵不足の見通し
この卵不足は、一体いつまで続くのでしょうか。
結論から申し上げると、大熊養鶏場では完全に今までのような状態に戻るには、約2年はかかるのではないかと見ています。それは、鳥インフルエンザが発症してしまった養鶏場の洗浄とヒナを飼育する期間には一定の時間が必ず必要だからです。
まず、鳥インフルエンザが発症してしまった養鶏場では、鶏の処理や傾斜の洗浄消毒が必要です。規模にもよりますが、最短でもここで1〜2ヶ月ほどかかるとされています。そして、綺麗になった鶏舎で数十〜数百羽の鶏を小規模で飼育し、安全性を確かめる作業がさらに1〜2ヶ月ほどかかります。
その後、ようやく大量の鶏を養鶏場に入れますが一度に大人の鶏を大量に買い付けることは難しく、一般的にはヒナから育てるため、そこから卵を産めるようになるまで約半年が見込まれます。また、ヒナも一斉に全て買い換えず、部分的に数を増やしていくことがほとんどですので、全国の養鶏場が今までの生産量まで完全復帰させるには約2年はかかるのではないかと見ています。
家庭での卵不足の対策
このような現状の中、ご家庭でできる卵不足の対策をいくつかご紹介します。
対策①:時間帯をずらしてスーパーやコンビニに行く
北海道でも、全く卵を購入できないというわけではありません。例えば、人口が多い札幌市でも平日の午前中にスーパーマーケットに行けば、卵を販売しているお店もあります。
お店や日によって、入荷のタイミングが異なるため、お仕事をされている方はなかなか難しい方法かもしれませんが、一つの方法として参考にしてみてください。
対策②:オンラインストアから取り寄せる
現在でもオンラインストアで卵を販売している養鶏場はたくさんあります。また、ふるさと納税でも注文を受け付けているサイトがあるので、そちらから購入したい個数のものや数ヶ月間決められた個数が安定的に届く「定期便」を購入することもできます。
対策③:普段の料理に卵の代用品を使う
卵がなくとも、代用品を使って料理を作るという対策もあります。
例えば、ハンバーグの繋ぎに卵ではなく「塩」を使ったり、ホットケーキをフワッとさせたい時にヨーグルトを使ったりなど、実はさまざまな食材で代用することができます。
以下の記事では元々、アレルギーの方向けに発信したものですが、卵不足の今だからこそ、多くの方に役に立てていただけるのではないかと思っています。ぜひ、卵を購入出来なかった方にも参考にしていただけますと幸いです。
まとめ:大熊養鶏場が今できること
今回は卵不足の現状と今後の見通しについてご紹介しました。大熊養鶏場としては、以前のようにスーパーでも卵をいつでも購入できるようになるまでには、2年ほどはかかるのではないかと考えています。
また、当養鶏場では幸いにも生産を続けられている状況にあり、一人でも多くの方に卵を届けたいという思いで、個人のお客様に向け現在、以下の方法で可能な限り販売を続けています。
もし卵不足でお困りの方がいらっしゃいましたら、オンラインストアをはじめとする方法で、お買い求めいただけますと幸いです。今後とも大熊養鶏場の「かっぱの健卵」をよろしくお願いいたします。
オンラインストア
オンラインストアでは、卵不足の影響により生産が追いつかず、現在一部商品のみを販売している状況です。(2023年5月現在)
生産量の回復に向け一層の努力を重ねておりますが、ご購入いただいたお客様につきましては、配送が遅れる可能性がありますので、あらかじめご了承いただいた上でのご購入をお願いしております。
かっぱの健卵オンラインストアはこちらふるさと納税
ふるさと納税は、以下のサイトからかっぱの健卵20個入や30個入などの注文を随時受け付けております。いただいたご寄付は、子育て支援や高齢者福祉、自然環境保護などに使用されます。皆様からのご支援を心からお待ちします。
比布町ふるさと納税特設サイトはこちら卵の自動販売機
卵の自動販売機は以下の2箇所ございます。
- ばらえてぃきっちん紙風船敷地内:〒078-0310 北海道上川郡比布町 基線4号
- 大熊養鶏場道路わき:〒078-0311 北海道上川郡比布町南1線8号
現在、自動販売機においても、連日即完売してしまう日が続いています。より多くの方にお買い求めいただけるよう、1家族様2パックまでのご購入でお願いしております。
宅配
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